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 〜 さくら日記 〜


               

この子の名前は『さくら』。

冬が寒く、芽吹くまでの環境が厳しければ厳しいほど綺麗な花を咲かせる
桜に因んで『さくら』と名付けました。
11歳の女の子です。

 

さくらの元の飼い主は、体調を崩していました。また、経済的にも決して
楽とは言えない状況となったため「この子の飼養継続に限界を感じている」
と私達にご相談くださいました。そこで私達もボランティアさんを募り、な
んとか引き取ることが出来るよう調整を行っていたのですが、ご本人も少し
不安定になってしまったようで「犬を殺して、自分も死ぬ」というようなお
話をされるようになりました。
そのため私達は、このまま自殺を図るようなことがあってはならないと考え、
警察に相談することを決めました。

 

2月3日。まずは県警本部への相談です。

担当していただいたH様はとても親身になって話を聴いてくださり、飼い
主が居住していると思われる地域を管轄する警察署に連絡を取っていただく
こともできました。

 

けれどもこの後、所轄署との最初の会話から、私達の警察不信は始まったの
です。

 

できるだけ本人を刺激しないように(警察と名乗ったりせずに)様子を窺
うことができないかという問いに対し、担当婦警の返答は「そちらが望んで
いないような結果を招いたり、ご迷惑をかける結果になってはいけないので、
そちらの指示で動きます」というものでした。これでは『相手を刺激してし
まったり、逆恨みをされたとしても、それはあくまで自己責任で』と言って
いるのと同じです。
しかも「そちらの指示で…」と言われても、プロの警察の方に指示できる訳
がありません。その知識も経験も資格もないからこそ、相談しているのに…。

 

「例えばそこに事件の可能性があったとしても、そちらの対応は何もかわら
ないんですか?あくまでもこちらの指示で動くんですか?」

「はい、そうです。」

 

あくまでも『指示待ち』の姿勢を崩さないようなので、ひとつ提案をしま
した。

 

「民生委員の訪問を市に依頼してもらえますか?かなり生活も困窮している
みたいですし。生活保護を受けているかは分かりませんが、生活の建て直し
が必要だと思うんです。警察で詳しい住所を調べて、お願いできますか?」

「分かりました。週明けに連絡します。ただ『警察がそれだけの情報を持っ
ているのに、なぜ自分達警察が動かないんだ』と、市は言うでしょうね」

 

こうなると、わざと意地悪を言っているようにさえ感じます。
市にそう言われるのが分かっているなら、言われる前に動いてほしい。
「指示しろ」というなら希望を聞いてほしい。
何よりこちらが真剣に話をしているのだから、せめて『人の命が懸かってい
る』という意識を持って、きちんと対応してほしい。
人の命を救うのに、問答を楽しむ余裕はないのだから…。

 

念のため、翌週半ばを待って確認の電話をしました。

 

その日は相談係が全員不在とのことで、少年課O様が市への働きかけにつ
いて確認してくださいましたが、市へは電話連絡さえもしていないことが判
明。前回の担当者が名乗ってくれなかったため
O様に尋ねると「相談係は全
体で対応しているので『誰が担当した』というのはない」との返答…この署
の相談係は相談記録も残さないということでしょうか。

また、その際「相談翌日から飼い主宅の部屋の明かり確認をしているが、
本人との接触はなし。離れたところから本人を確認する事もしていない」と
言われましたが、当の本人は病気で視力が弱っているため、以前から昼夜を
問わず電灯をつけっぱなしの筈…。

 

この日以来、警察の話をどこまで信用して良いのかさえ、分からなくなり
ました。

 

結局「警察から市に問い合わせるよりも、団体から市に依頼するほうが良
い」と言われ、こちらから市へ連絡。数日後、市が警察に確認を取って情報
提供を行ったとのことでした。

どこまでも受け身の態勢は変わらないようです…。
 その後、所轄署からの連絡があったのは2月20日のことでした。